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LiDARデータ中のリターンナンバーについての簡単なまとめ

こんにちは。ローカスブルー株式会社の提供する、ScanXやDeep3の開発担当の板倉です。本日は、レーザースキャナ(LiDAR)で取得したデータに含まれる、リターンナンバーという値について簡単にまとめたいと思います。

1. はじめに

 航空機ライダーなどで、対象をスキャンした場合を考えます。照射したあるレーザービームが対象に当たり、返ってくるまでの時間をもとに、対象までの距離を求めます。この計算をレーザービームの照射ごとに繰り返すことで対象の3次元情報を得ることができます。
 ライダー (以下、LiDARとする) により対象をスキャンした場合、1つのレーザービームが透過や反射を伴い、複数回数戻ってきます。本記事では、上空から取得したLiDARデータをもとに、その内容について具体的に見ていきます。

2. リターン番号について

 例えば、航空機LiDARでは、空中から地上にレーザービームを照射したとき、複数のレーザービームの反射(リターン)を得ることができます。以下の図を見てください。左の図は、航空機から照射したレーザービームが建物の屋根に反射しています。一方、右の図では、レーザービームが樹木の頂点付近に当たって反射しています。さらに、一部のレーザービームは透過し、樹木の真ん中付近で2度目の反射をしています。さらに、その中でも一部のレーザービームが透過し、樹木の下部で、3度目の反射をしています。
さらに、右図の、Powerと書いている欄に注目してください。ここでは、反射するレーザービームの強度のようなものと考えてください。1度目の反射では、このPowerの値が最も大きいことがわかります。さらに、2度目、3度目にかけて、Powerの値がさらに小さくなっていることがわかります。これは、反射せず透過した部分が小さくなっていくため、このPowerの値もそれに応じて小さくなっていると考えられます。

画像出典:YAN, Wai Yeung; SHAKER, Ahmed; EL-ASHMAWY, Nagwa. Urban land cover classification using airborne LiDAR data: A review. Remote Sensing of Environment , 2015, 158: 295-310.

3. 各リターンを確認してみよう

 この章では、実際の空撮した点群データをもとに、各リターンでどのようなパターンになっているかを確認してみます。DJI Zenmuse L1 (DJI社) にて取得したデータを利用します。以下の図は、全てのリターンを合わせたときの点群の様子です。この点群をファーストリターンから、サードリターンまでの3つに分けて可視化してみます。

補足情報として、ここで利用する、DJI Zenmuse L1の製品ページの画像を添付します。この機体で利用されるLivox社製LiDARモジュールの説明が書いています。以下の図のように、このLiDARでは、3つのリターンの情報が得られることが書いています。

画像出展:DJI社 HP

1 ファーストリターン


レーザービームの照射をした後に、地上部の物体に最初に到達し、反射してきたものです。地面や植生の上部などの色々な場所から返ってきていることがわかります。上の図で示したような、もとの点群と見た目はほとんど同じです。

2 セカンドリターン


ファーストリターンでは、初めて物体に到達したときに反射をしましたが、セカンドリターンでは、さらに透過や反射をして返ってきたものを示します。以下の図のように、植生の点が多く含まれています。

3 サードリターン


さらにサードリターンについて見てみます。さきほどと同様に、植生から中心にサードリターンが得られていることがわかります。しかし、点の数はセカンドリターンより少ないです。セカンドリターンにてLiDARに反射しなかったもののみがサードリターンの対象になるため、どんどん数は減っていくと考えられます。

別の例で再確認しよう


以下の図は、各リターンから得られた時の点群を上から見たときの様子です。この画像は、こちらのサイト (https://www.usna.edu/Users/oceano/pguth/md_help/html/LidarReturnClassification.htm) から引用しています

  • Return1(右下:青🟦)は全方面から得られています。さきほどの例と同様です。また、水面からはうまく反射が得られず、欠落していることがわかります。

  • Return2(左下:赤🟥)は先ほどと同様に、植生から得られていることが多いです。

  • Return3(右上:緑🟩)も植生から得られていが、Return2よりも、割合が低いことがわかります。こちらも先ほどの例と一致しています。

画像出典:lidar return number and classification

4 まとめ

. この記事では、LiDARのリターンナンバーの情報について簡単にまとめました。さらに、DJI Zenmuse L1のデータをもとに、各リターンナンバーごとに点群を分けて可視化してみました。ファーストリターンでは、初めに当たって返ってきた点が可視化されるため、対象を全体的に網羅していました。一方、セカンドリターン以降では、どこかに透過や反射を経て返ってくるため、植生のエリアから多く得られました。さらにサードリターンでは、セカンドリターンよりも得られる確率が下がるため、全体的にセカンドリターンよりも薄いような点群になっていました。
 高密度なLiDARデータはLASやLAZ形式で保存されることが多いです。そのファイル形式の中には、リターンナンバーを格納する場所(フィールド)が存在します。点群の情報といっても、XYZ情報による3次元的な構造情報やRGB情報による色情報だけではなく、色々と情報が格納されていて、それらを見ていくのは楽しいですね。今後も継続して勉強して、深めていきたいです。


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